とある日本語教師の海外遍歴記

2年ごとくらいにいろんな国で働く生活を志す人の旅行記

大人のふりして生きている隠れティーンへ贈りたいSkinsースキンズー

最近は、暇なのと英語の勉強したいのとでNetflixを見ているけれど、そもそも購読を決めた理由は『Skins(スキンズ)』というイギリスドラマを見たかったからでした。

暴言吐きまくり、きわどい…というかアウトなシーンありまくりなので、日本ではテレビ放送はおろかDVDも出ていませんが、大好きです。中二病と反抗期とティーンエイジャーみたいな承認欲求を持て余したこじらせ系わたしのど真ん中に、刺さる。

同様に、刺されたイギリスのティーンとかつてのティーンは数知れないようで、いまでもインスタではいくつものファンページが活動中だし、日本の国際交流イベントなんかで会ったイギリスの同年代(アラサー)にSkins知ってるよと言うと、一気に話が弾みます。

せっかくNetflixで見られるので、古いと思わず見てくれる日本の人が増えるように、という思いを込めて、10年を考察した記事を勝手に翻訳してみます。

以下、この記事の引用翻訳。

www.theguardian.com

 

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Skinsから10年――十代の真実を暴いたドラマ
Skinsは、いまや失われた快楽主義的ティーンたちを描いた過去のドラマだ。それでいて10年を経た今もなお、この作品はおもしろく刺激的であり続ける。また、出演者たちは『ゲーム・オブ・スローンズ』からオスカーに至る大スターに成長した。

 

2000年代、十代の若者を描いたドラマの多く、特にアメリカドラマは、キャラクターより10歳以上年上の俳優たちがキラキラした恋愛事情を演じるというものだった。『ドーソンズ・クリーク』『The O.C.』『ゴシップガール』などは、お金持ちで映画スターばりの美男美女を取巻く、おしゃれで夢のような生活を描いている。これが、視聴者に好まれる設定だと思われていた。しかし、豪華な家とか車とか燃える恋とかを求めているのは中年既婚者ではないか。改めて考えてみると、おかしい。

 

Skinsはそんな状況をすっかり変えてしまった。10年前の今日の放送開始は、若者たちに真に寄り添い、彼らが本当に観たがっているものを考えるという画期的な第一歩だった。

そこで演じられる個々のドラマは、大人の若作りバージョンではない。もっと些細で、切実で、具体的だ。最初で最高の第1シリーズ(筆者は第3シリーズも好きだが、この「悲しき選ばれし者たち」の話は別と考えるべきだと思う)では、若者が抱える典型的な問題を取り上げている。
もちろん、おもしろおかしく誇張されてはいるが、それでいて真実味がある。描かれるのは、童貞卒業とか、摂食障害とか、修学旅行、性、親の離婚、友人関係、仲違いといったものだ。

ここではキャラクターとほぼ同年齢の俳優たちがキャスティングされた上、脚本家も比較的若い。どうも馴染めない25歳以上が多発する一因だろう。両親たちを、揃いも揃って自分のことに夢中で、自分の子どもが何をしているかまるで知らない無責任なダメ親としたのは成功だった。その点が、作品に「世界に抗うぼくら」という立ち位置を与えた。

当初は多くの批評で、セックス、言葉遣い、あからさまなドラッグ使用の描写等が批判された。タブロイド紙は現実の「スキンズパーティー」を報じ、ことさら懸念を示した。しかしその実ドラマではいつも、快楽には報いが、コメディには悲劇が待っている。最も破天荒で奔放なキャラクター(クリスやクック)でさえ、逃げ続けている問題がある。パーティーシーンの後には二日酔いシーンがある。無責任だという批判は的を射ていないだろう。現実離れしていると同時に現実的。双方がバランスよく織り込まれているのだ。

 

このドラマに出演したキャストは、いまや大物になっている。トニーを演じたニコラス・ホルトはX-MENになり、ジャック・オコンネルはダービー方言にも関わらずアンジェリーナ・ジョリーに抜擢され、脚本家のジャック・ソーンは『THIS IS ENGLAND』『National Treasure 』ののち『ハリーポッターと呪いの子』で乗りに乗っているし、クリス役のジョー・デンプシーは現在『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演していて、オスカーの会場で出くわしたデヴ・パテル(アンワー役)とドラマの10周年を祝ったとツイートしている。 

 

記事を書くにあたって、何話か見返してみた。もしかしたら古臭く感じるのではないか、古き良き時代の遺物のように思えるのではないか。この10年間で、ドラマの世界から十代の生活がすっかり変わってしまったのは確かだ。概して若者は以前ほどお酒を飲まなくなったし、外で遊び回らなくなった。クラブは次々と閉まり、行く場所がなくなっている。大学の学費は高く、何万ポンドもの借金は深刻な問題だ。

現在では、これほどオープンに遊び惚けるドラマは想像しがたいし、その点ではひどく世間知らずに見える。確かに、過去のドラマだと言わざるを得ない点もあろう。この後類似作品が大量に生まれると予想した人もいただろうが、影響はそれほどでもなかった。Skinsの奔放さは『マイ・マッド・ファット・ダイアリー』や『フレッシュ・ミート』、『ジ・インビトウィーナーズ』『チューインガム』等に見られるが、類似といえる作品は現れていない

しかし、見返してみて、これはやはり偉大な作品だと確信した。鮮やかで独創的で、温かくテンポよく面白く、楽しくて、激しくて、そして見かけよりずっと大人向きの作品だった。

現在、SkinsはAll4またはNetflixで視聴可能。

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引用翻訳、以上。

ほんとうに、些細なことに丸3日でも心底悩めて思い切り落ち込めたティーン時代が懐かしい。問題なのは、些細なことに丸3日心底悩むという前半部分は、アラサーの今でも変わらないというところ。思い切り落ち込めない代わりに、なんでもない大人のふりをしなければならないのは、もうそんなに辛くもないけど、時々さみしいものです。