とある日本語教師の海外遍歴記

2年ごとくらいにいろんな国で働く生活を志す人の旅行記

冬のサンクトペテルブルク旅行記2018⑥~ヴェリーキー・ノヴゴロド編~

2018年1月5日、この日はサンクトペテルブルクから電車でノヴゴロドへ向かった。

ノヴゴロド、またはヴェリーキー・ノヴゴロド、またはノヴゴロド・ヴェリーキー。町の名前としては「ノヴゴロド」だけれども、ロシア第3の町であるニジニ・ノヴゴロドとの混同を避けるため「ヴェリーキー」の形容詞がつけられる。

ヴェリーキー、すなわち「偉大な」という意味である。偉大なるノヴゴロド

じゃあ何が偉大なのか。ずばり、歴史。ここは、ロシア最古の都市なのだ。
ロシアの古事記みたいな『過ぎし歳月の物語』によれば、9世紀にここからロシアは始まったのだという。

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なんとロマンのある町でしょう!
ということで、ペテルブルクから向かった。7時頃の列車に乗り約3時間、10時ごろ着くことができる。

 

一緒にいった日本人が旅慣れた人で、カウチサーフィンをとおして現地の人に案内してもらう約束を取り付けていたので、便乗させてもらうことにした。

駅にスーツケースを預け、タクシーでノヴゴロド公国クレムリンへ向かう。

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クレムリンに「謹賀新年」という文字がかかっている。奥に見えるのは公国時代に建てられた聖ソフィア大聖堂。
この時期、数年前ならもっと雪が積もって銀世界になっていたものらしいけど、最近は雪が少なくなっているそう。温暖化って世界規模なんだと実感する。銀世界を期待していた身としては、残念さ半分、あんまり寒くない安堵半分(といっても、-1,2℃前後で外にずっといると足先が痛かった)。

 

クレムリンでひときわ目につくこのモニュメントは、1862年に建てられたロシア1000年記念碑。

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聖人、王、英雄から詩人や芸術家まで、「ロシア史を飾る人々をだれでもどんどん入れてみた」記念碑だそう。こんなにいろんなタイプの人がいる記念碑は珍しいとのこと。

そして案内してくれた地元のお姉さんが最も誇らしげに話してくれたのは、この鐘について。

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ノヴゴロド公国では、この鐘の合図で人々を集めて議会を開いていたのだそう。当時のヨーロッパの基準では先進的な共和制だったのだとか。
ロシアの政治、というと、スターリンプーチンばかり思ってしまうかもしれないけど、それが歴史のすべてじゃないことをぜひ日本人にも知ってほしい。

 

この町はヴォルホフ川で2つのエリアに分かれている。クレムリンの反対側に出ると橋があった。歴史的には、クレムリンの側が政治の場、川の向こうは商売の場。

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ロシアのどの川にもたがわず愛の誓いがかかっている。

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これは、夏ならきれいであろう噴水。
凍ってしまっていて見えないけど、噴水の盤の部分には、ハンザ同盟の各都市のマークが描かれているんだそう。ハンザ同盟ってドイツのイメージでしかなかったけど、こんなに広かったのだなあ。

 

そこから、食事をしたあと、車に乗せてもらってユーリエフ修道院へ。こちらもロシア最古の、そして現役の修道院の一つ。

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そして、ロシアで昔実際に使われていた木造家屋を集めてきたという「木造建築博物館」へ。

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ここ、見てよかった!こういう「普通の家」に何があって間取りがどうなってて暖炉がこうなってて…というのが分かったことで、ロシア文学を読むのが数段楽になったし楽しくなった。ネットで写真を調べて済ますには、立体的想像力が足りていないのです私。

 

クレムリンに戻ったころ、ちょうど日没だった。このブルーアワーは、中世ヨーロッパを撮るのに一番楽しい時間だと思う。

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こちらは見どころがうまく収まったお気に入りの一枚。

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友人はあまり興味ないというので、ひとりクレムリン内の博物館へ。あんまり期待せずに入ったけど、よかった。古いもの好きには、時と土を感じられる博物館。

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聖堂の古い扉、かな。職人になりたい。

 

出たころにはもう真っ暗。
クレムリンの脇の広場にステージが作られて、新年のイベントが行われていた。ここでライトを入れた風船が配られていた。この寒い中、色と明かりっていいなあと思う。

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イベントの最後には、みんなでカウントダウンして、新年願い事とともにこの風船を空に放った。一斉に飛んでいくのはきれいだった。自分がどんな願い事をしたのかは…一年たった今、忘れちゃった。

この日はノヴゴロドに一泊して、翌朝早くにペテルブルクへ戻り、飛行機で南部の自分の街へ帰った。年末年始の旅、終わり。せっかく脱サラしたんだから、これからも年一回ずつくらいはこうやって悠々と海外旅行ができますように。